e-TeachingAward Good Practice集
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2010年7月より、Course N@viのトップページから、「Xpert」という動画コンテンツ作成ソフトがダウンロードして利用できるようになった。正式リリースに先立ってこれを導入し授業を行った人間科学学術院の森田准教授に、その活用法とメリットについてお話を伺った。コンテンツ制作支援ツール「Xpert」導入で学生の授業参加が積極的になった操作の基本は、Webカメラに向かって話すだけ 「Xpert」は、PCとWebカメラ、ヘッドセットさえあれば、パワーポイントなどで作成した資料と連動した動画コンテンツを、簡単に作成できるソフトウェアだ。早稲田大学に在籍する全教職員・学生は、無料でダウンロードして利用することができる。森田准教授には、2010年度前期の授業において、正式リリース前のこの「Xpert」を試験的に利用していただいた。 今回、森田准教授が「Xpert」を導入したのは、大学院の2つの授業と、学部のゼミだ。 まず、大学院人間科学研究科の授業では、論文を1本読み、それに対して批判的な問題点を3点挙げるという課題を課し、これを発表するプレゼンテーションコンテンツをこのソフトを使って学生に作らせてみた。「オンデマンド授業におけるプレゼンテーション用コンテンツ作成は以前から独自に行っていました。今回Xpertが導入されたことにより従来対面で行っていたプレゼンテーションを置き換えたらどうなるか試してみることにしました」。 実際にコンテンツを作成する操作は、資料として作成したパワーポイントのスライドを「Xpert」上で表示させながら、PCのカメラとマイクに向かって話すというのが基本。「録音ボタンを押してからカメラに向かって通常のプレゼンを行い、保存するだけです。最近は、Webカメラが内蔵されたノートPCも多いですし、スカイプなど映像通話の経験がある学生もけっこういます。実際にやってみるとむずかしいことは何もないんですよ」。 作成後アップロードされたコンテンツは、再生するためのリンクをCourse N@viから他の学生全員に公開。各自これを視聴した上で、Course N@viのBBS上で議論を行った。 BBSでは、一人3回は書き込みを行うことを必須とし、発表の内容への疑問点などが提示された場合は、その発表者の学生が責任を持って回答するように指示をした。「それぞれのプレゼンに対して、単なる感想だけではなく議論をすることを目的としました。実際にやってみると、この部分についてもう少し詳しく教えてほしいとか、ここはこうするともっといいんじゃないかなど、多くの意見が書き込まれました」。 対面で行うプレゼンに比べて、発表者も他の学生も、気になる箇所を後から確認できるという点も、オンデマンドコンテンツならではのメリットといえるだろう。 もう1つ大学院の授業で使用した例が、日本語教育研究科の授業だ。日本語教員を目指す人を対象としたこの授業では、自分が教員として授業を行うときに使用することを想定して、教材用のコンテンツを作らせてみた。 「この手の作業はほとんど経験がない学生が多かったため、インストールに手間取りましたが,実質的には2~3週間で作成することができたようです」。中には自作のイラストやクイズを盛り込んだり、ロケまでして撮影したビデオを取り入れるなど、かなり凝った作品を作ってくる学生もいた。「やっているうちに楽しくなり、どんどんのめり込んでしまったようです」。これを見て、他のPCスキルが高くない学生も触発され、お互いに教え合いながら楽しんで作っている様子も見られたという。ゼミ生には手軽な短時間ビデオを作成させる 以上の例は大学院の授業で導入したケースだが、学部のゼミ生に対しても、違う形で使わせてみた。たとえば、合宿に参加できない4年生に対して、卒論の進捗状況や概要を説明するコンテンツを作成させた。また、3年生全員には、英語で自己紹介をするコンテンツを作成させてみた。 「大学院で作らせたコンテンツは内容的にどうしても長時間になってしまいますが、この程度の内容なら短いものでもOKです。手軽に作れるし、ファイルサイズもそれほど大きくなりません」。 現在、Course N@viではファイルをアップロードする際の制限があり、初期値は10MB、担当教員よりITセンターヘルプデスクに申請をすると30MBまで拡張が可能となっている。動画コンテンツはファイルのサイズが大きくなってしまうため、長時間にわたるコンテンツを作成する場合はいくつかのファイルに分割したり、画質を落とすなどといった工夫も必要となる。「最初は短いものから始める方が、敷居も低くて導入しやすいでしょう」。 手軽に利用できる用途としては、たとえばレポートを書かせるときに、内容を自分で説明する5分程度のコンテンツをXpertで作成させ、レポート本体と一緒に提出させるといった使い方も考えられ24森田裕介人間科学学術院准教授

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