e-TeachingAward Good Practice集
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標準パッケージの導入により、Course N@viを起動し担当科目を選択するだけで、すぐに基本的な機能が使えるようになった。といえるでしょう。そして、実際に使ってみながら小まめに直ぐ改善していけるという点が、紙の教科書とは違う最大のアドバンテージです」。 さらに、学部全体として標準的な教材を使用することで、成績評価基準を統一したり、クラス編成に反映したりという利用法も考えられる。「伸び悩む学生にどう対応するか、優秀な学生を伸ばすにはどうするかなど、さまざまなニーズに対して、新しいアイディアや利用法のイメージが次々と沸いてきています。Course N@viをツールとして使うことで、よりよい教育のための今までにない可能性が見えてくること、その可能性に教職協働で取り組むことは、素晴らしいことだと思います」。手作業を軽減した分の時間で新しい価値が生み出せる これらの試みと並行して、Course N@vi導入への意欲を高めてもらえるよう、上沼教授はそのメリットもアピールするよう努めている。 たとえば、学期始めの履修学生の出席簿については、紙で管理している場合は、二次登録、三次登録に伴う変動があるたびに、追加分の出席簿を印刷し担当教員もそれを名簿に書き足すという手間がかかる。しかし、これをCourse N@vi上で管理するようになれば、名簿データは自動更新されるため、そうした手間はまったく不要になる。 成績をつける際も、Course N@vi上で行えば、教員が入力したその場で確定する。紙を使用したときには不可欠な、提出後に生じる作業工程が省けるため、その分締め切りを延ばすことが可能になる。これにより、教員側にとっても、採点期間を長く確保できるというメリットがあるのだ。採点結果を郵送したり事務所に持参する手間も、採点関連データを持ち歩いて紛失するリスクも無くせる。学生に課題レポートを事務所に持参させる必要もなくなるのだ。 「特に、2011年度は東日本大震災の影響で春学期の開始がひと月遅れたこともあり、成績提出までのスケジュールが非常にタイトになりました。そこで、Course N@viを使えば効率化できることを積極的にお知らせした結果、多くの教員が利用してくれました」。 そのほか、出席管理やレポート提出にしても、従来の方法で紙を使っている限り、職員やTAには、それを印刷、配付、回収、整理、転記などの作業が不可欠だ。「そうした手間がCourse N@viを使うことで不要になれば、業務効率が上がり、その分の労力や時間を他の有益なことに使えるようになるのです。Course N@vi導入をためらう教員には、そういう意味でのコスト削減効果や環境配慮効果、あるいは、その分で研究成果や教育効果を上げるための、より創造的な取り組みができることの諸々の価値を考えてほしいとお願いしています」。 授業ばかりではない。社会科学総合学術院では、担当教員への種々のアンケートも会議資料もCourse N@vi上で既に運用している。蓄積した学習履歴の活用がさらに学習効果を向上させる可能性も さらに、学習した内容がCourse N@vi上に残っていて、後からでも閲覧できることには、学生にとっても大きな意味があるのだと、上沼教授は指摘する。「Course N@viなら、これまでに自分が何を学習したかが、きちんと履歴として残ります。そのときはよく理解できなかったことが、後になって、あれはこういう意味だったのかと腑に落ちるかもしれないし、あのときの資料が使えるのではないかなど応用できることもあるでしょう。これは、学生にとっても大きな財産になるはずです。同時に、教員にとっても、Course N@viの履歴を活用することで、以前行った授業内容を修正して利用することも可能です。手間が省けるだけでなく、授業の質向上にもつながる可能性を秘めていると思います」。 2012年度分からは、全学部においてシラバスをCourse N@vi上で入力することになっている。これにより、基本的にはすべての教員がCourse N@viにログインせざるをえない状況になるはずだ。「これがきっかけでCourse N@viを使うことに慣れてくれば、今まで利用していなかった教員が授業でも活用するきっかけになるのではと期待しています」。37Course N@vi活用部門

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