e-TeachingAward Good Practice集
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オンデマンド授業というと一方通行的なイメージがあるが、こうした工夫で、学生同士の情報共有を促進したり、あるいは 生と教員の距離を縮めたりすることができる。ある意味、教室授業よりも深い授業が行えているとも言えるかもしれない。 「すべてをオンデマンドでやるのがいいというわけではありません。特に入学したての学生は、キャンパスに来てさまざまな人と触れあったり活動したりする経験が重要です。バランスを考えつつ、ケースバイケースでうまく取り入れていくのがいいと思います」。修論、卒論の作業バックアップにも使える レポートや卒論をPCで作成するのが当たり前になった昨今では、PCの故障により作成途中のファイルを損失してしまうというトラブルも起こりうることである。実際に「PCがクラッシュしてファイルを喪失してしまいレポートの締め切りに間に合わなかった」と申告する学生も少なからずいるという。そこで西村教授は、作成途中のレポートや論文のデータをバックアップするという目的でもCourse N@viを活用しているという。 具体的には、修論や卒論を作成している学生の一人ひとりに対して、各個人専用のBBSを設定する。便宜上BBSのシステムを利用しているが、書き込めるのはその学生本人だけとし、作成途中の論文をその都度バージョンごとに自分のBBSにアップロードしておくよう指導した。 これにより、仮に自分のPCに何かのトラブルがあったとしても、Course N@viにアクセスすればその直前のバージョンの論文データを入手することができる。「Course N@vi上のデータが100%安全とは言い切れませんが、少なくとも個人のPCだけに保存されているよりは、はるかにリスクは低くなるはずです」。 BBSのデータは他の学生も参照可能であるため、他の学生の論文執筆がどの程度進んでいるかを確認することもできる。つまり、Course N@viに作成途中のデータを置いておくことで、進捗状況のチェックにもなり、万が一のためのバックアップにもなっているということだ。 Course N@viのBBSという機能を、ディスカッションという本来の目的とは異なる用途で活用している点にも注目したい。「Course N@viでは、BBS、小テスト、レポートなど目的に応じた様々な機能が提供されていますが、実際には機能自体が本来想定している用途以外でも便利に使えることがあります。機能の名称にこだわることなく、目的によって自分が使いやすいように工夫して使うと良いのではないでしょうか」。電子化により、コピペも簡単に発見できる 最後に、これからCourse N@viを導入しようという場合にお勧めの利用法を聞いてみた。「まずは、レポートをCourse N@viを使って提出させるのがオススメです。最近増えているWebからのコピー&ペースト問題への対策にもなりますよ」。 西村教授の場合、学生のレポートを読んでいて怪しいと感じると、その箇所をコピーし、インターネットの検索サイトで検索してみるのだという。検索結果にまったく同じ文章が出てくれば、流用したことがハッキリ分かるというわけだ。 「紙のレポートで同じことをやろうとしたら、その文章をいちいち自分でPCに入力する手間が必要で、膨大なレポートを採点するにはとてもそこまで手が回りません。その点、データとして提出されたものなら、こちらもコピー&ペーストするだけなので簡単にチェックできます」。 そもそも、ほとんどの学生がWordなどのワープロソフトを利用してレポートを作成しているので、わざわざ紙で印刷して提出させるのは学生にとっても面倒である。教員からすればCourse N@viから提出させることで期限を厳正に管理したり、提出状況や採点も簡単に管理できるので利用するメリットは大きい。 さらに、Course N@viを利用することによりレポートのデータが学習履歴として整理された状態で蓄積でき、それは4年間いつでも簡単に参照できるようになる。 多くの授業でこうした方法が採用されれば、学生の在学中の学習内容を一元管理できることになり、学生にとっても大きなメリットとなるだろう。41BBSへのコメントはあえて文字で返すのではなく、動画として配信している。「対面によるコミュニケーションとオンラインコミュニケーションのバランスが大切」と西村教授は語る。Course N@vi活用部門

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