e-TeachingAward Good Practice集
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リフをテキストで入力するだけで、CGや音声合成技術によりキャラクタがセリフを話す映像が簡単に作成できる。生徒は自宅のPCにT2Vプレーヤーをインストールし、原則的に授業外の時間に自由に取り組むこととしている。番組はだいたい3~5分程度のもので、作った番組はそのままサーバーにアップロードできるようにしてある。生徒たちはそこにアクセスして他の生徒の番組を自由に見て、コメントを付けたり星の数で評価を付けたりしてもよい。 「これは生徒同士の教え合いをイメージしたものです。授業で分からなかったことを、後から他の生徒に教えてもらうと理解できるということがよくあります。どんなに思考スタイルを意識した授業をしても、どうしても教員自身の思考スタイルが表に出た説明になってしまうことがあります。それを補っているのが生徒同士の教え合いなのでしょう。そういう意味で、教員とは違う視点で解説された他の生徒の番組を見ることからは、学べるものがたくさんあると期待しています」。 「テーマは授業で習ったこと以外でも、数学に関することなら何でもOKとしています。全部セリフだけで構成する生徒もいれば、画像を取り入れる生徒など、ここでも思考スタイルによりいろいろな番組ができてくるのが興味深いところです」。面倒な数式の入力などには、パワーポイントで入力したものを貼り付けたり、手書きしたものを写真で撮影して取り込んだりと、各自工夫を凝らしているという。 番組制作のメリットは、見る側の生徒だけではなく、作る側の生徒にも大きい。人に教えるためのコンテンツを作るには、さまざまなことを調べなくてはならない。自分の理解を深めると同時に、他人を説得するには調べることが必要なのだと体感できる。さらに、完成した番組を自分も視聴者として見ることによって、自分の説明の仕方を客観的に推敲できる。「番組を作るという作業を通じて、相手に伝える方法を学ぶと同時に、調べるという行為が学力や知識を補強する効果があると考えています」。Course N@viのポートフォリオをノート提出に活用したい 高等学院では、早稲田大学同様にCourse N@viの利用が可能だ。吉田教諭自身も、各種のお知らせを中心にCourse N@viを積極的に利用している。「課題をやらせるためにURLを伝えたいときなど、印刷物で渡すより好都合です。こういうシステムが最初から使えるようになっているのはありがたいことです」。 今後は、ノートを提出させる代わりに、写真で撮ったノートの画像をCourse N@viのポートフォリオにアップロードさせることを検討中だ。ノートそのものを集めるのと違い、急いで返却する必要もない。「Course N@vi上にノートの中身がデータとして蓄積することで、生徒自身が自分のノートの改良履歴を確認できることもメリットです。他の生徒とのノート共有をさせることで、他人のノートを参考にできるのも勉強になると思います」。 生徒がより楽しく理解できるような授業を行うため、日々新しいICTの導入を検討しているという吉田教諭。「根底にあるのは、数学を楽しんで欲しいという思いです。数学が嫌い、苦手という生徒も、本質的な質問をしたり、おもしろい発想をしたりということもあります。そういう生徒をどうひっぱり上げられるか。特に中学生にとって数学的な考え方というのは、文系・理系を問わず将来的にも必要になってくる力なので、今後もいろいろな方法を試行錯誤してICTを取り入れていきたいと思います」。47デジタルペン(OpenSTAGE)で自分の意見を書き込む生徒T2Vで生徒が作成した番組例Course N@vi活用部門

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