事例集Vol.2
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14オンデマンドなら、後からいつでも復習できる フルオンデマンド形式で行う授業では、講義はすべて60分程度の動画とPPTで構成されたコンテンツとしてCourse N@vi上で配信される。学生は、自宅など好きな場所からCourse N@viにアクセスして講義を視聴し、小テストに解答したり、レポートを提出したりすることができる。 フルオンデマンド授業においては、講義を視聴した履歴が自動的に記録され、受講期間内に視聴すれば出席と見なされる。当然ながら、最後まで真剣に視聴したかどうかまでは分からないわけだが「毎回小テストを課しているので、講義を視聴していなければすぐ分かりますよ」と新城先生は語る。 出席扱いとなるためには指定された受講期間内に視聴することが必要だが、受講期間終了後には「バックナンバー期間」があり、後からいつでも講義を見直すことができる。ある段階まで進んでから、前の授業の分に戻ってみたり、レポート作成時に関連する部分を確認してみたりと、自由に復習できるのは、オンデマンド授業の最大のメリットといえるだろう。 同時に、後からでも講義を視聴できるというオンデマンドならではのこの特長は、学生が何らかの事情で授業を長期間休まざるを得なかった場合に、休んでいた期間の授業内容をフォローする機会を提供することにもなる。「この授業では、教場の授業に比べて単位に必要な出席率を高めに設定してますが、出席率が足りずに救済措置を行う際に、本人にやる気があって、きちんとバックナンバーを見て知識を身につけていることが確認できれば、あらためてレポートを書かせるなど、臨機応変に対応するようにしています」。出席の少ない学生などには、10月頃のタイミングで、先生よりお知らせ機能を使って声をかけることもあるという。レビューシートやBBSでコミュニケーションを図る フルオンデマンド授業の場合、履修する学生は大学に来る必要がなく、基本的には学生と教員が顔を合わせることもない。そこで、メディアネットワークセンターに設置されている「アカデミックリテラシー(情報環境下での知の活用)」という科目は、ルールを守ってPCやネットワークを活用する知識と作法の習得を目的としたものだ。この科目において新城先生は、すべての講義を映像配信で行うフルオンデマンド授業を実施している。双方のコミュニケーションを補うツールとして、レビューシートやBBSが利用されている。学生はレビューシートを通じ、授業の感想や意見、質問などを教員に伝えることができる。この授業ではレビューシートへの記入を必須とはしていないが、全体の20%ぐらいの学生が何らかのコメントを書いてくるという。「書かれた内容や頻度を採点対象にするというわけではなく、私自身が学生の声を聞くための手段として利用しています」。 レビューシートに書かれた内容のうち、長文で寄せられたコメントや回答を求める質問については、教員からも返信を行う。同時に、他の学生にとっても有益だと思われる質問については、回答と共にまとめて(個人を特定できないようにして)BBSに掲載している。必要に応じて、対面とオンデマンドを使い分けられるのが理想 この授業の場合、最初の段階でのコンピュータスキルや学生のタイプによって、理解度は大きく異なるという。講義コンテンツを1回見るだけで理解できる学生もいれば、3回以上見直したという学生もいるそうだ。それぞれのレベルに合わせて、マイペースに取り組めるのも、オンデマンド授業の魅力といえるだろう。 なお、新城先生はこのフルオンデマンド形式の授業と並行して、同じ科目の授業を教場でも行っている。この場合も、フルオンデマンド授業用に作成した映像コンテンツのうち数回の講義のみを、予習として視聴してから教場での授業に臨むことを課している。まさに、オンデマンド授業と教場での対面授業とをミックスしたブレンド型授業である。 「この科目では、基本的には講義の部分は対面で行う必要はないと思っています。教場での授業では、その場ではより実践的な指導を行いたいので、座学の部分は事前に見て来ることを前提にしています」。事前に講義を視聴した上で参加することで、教場ではかなり濃い授業ができているという。 ブレンド型とフルオンデマンド形式、同じ授業を2つの形で行っているわけだが、その理解度に違いはあるのだろうか。新城先生が実際に行ってみた感想としては、学生の理解度を左右するのは、授業の形態よりもむしろ学生の個人差によるものが大き新城直樹メディアネットワークセンター非常勤講師Course N@viの機能を多面的に活用し、フルオンデマンド授業を実施

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