組織

1.体育各部

(1)位置づけと目的

体育各部とは、早稲田大学が助成および監督の必要がある課外活動として公認し、競技スポーツセンター(以下「センター」といいます。)が所管する学生団体です(「早稲田大学競技スポーツセンター規則」(以下「規則」といいます。)第26条)。

その目的は、「体育各部の活動に関する規程」(以下「活動規程」といいます。)第2条において、「部員が各種目において高度な技能を獲得し、もって自己の人格の陶冶を図り、有為な人材となるよう、その活動を促進・支援すること」と定められています。

(2)「体育会」と体育各部との違い

早稲田大学(以下「本学」といいます。)に「体育会」という組織は、制度上、存在しません。サークルと区別するため、便宜上「体育会」という呼称が用いられることはありますが、制度上の正式名称は「体育各部」です。

例えば、慶應義塾大学の場合、Webページには「文化団体連盟」の各団体と並んで「体育会」という組織が明記されています。このように、他大学では、「体育会」と「サークル」の両者を学生自治組織として学生部が所管している例が多く見られます。

本学の場合、いわゆる「サークル」は学生部学生生活課の所管ですが、「体育各部」は、大学の附属機関であるセンターが直接統括している点が大きな特色です。ただし、センターの予算および業務は学生生活課の所管となっており、学生生活課とセンターは常に協力、連携しています。

本学では、学生の自由な活動を尊重しつつ、体育各部の活動を早稲田大学の課外教育の一つと位置づけています。このため、制度、組織構造その他のさまざまな点において、体育各部は、一般に「体育会」と呼ばれる組織に比べて大学の直接関与が強いといえます。

(3)体育各部の構造・組織

体育各部では、各部の運営のトップとして「部長」を置き、本学で任期の定めのない教授のみがその任にあたることができます。部長は、部長の業務を補佐する「副部長」を、本学で任期の定めのない教授または准教授のうちから管理委員会に推薦し、その承認を得た場合に置くことができます。

現場の指導にあたるのは、部長の推薦により大学から嘱任された「監督」および「コーチ(A群登録指導者)」です。

体育各部においては、大学から嘱任されたコーチ以外に、独自に指導者を置いている場合がありますが、規則第32条の2に基づき、部員の指導または体育各部の運営支援(以下「部員の指導等」といいます。)を担当する者は、「登録指導者」としてセンターに登録する必要があります。

部によっては、部内の運用上、「総監督」や「〇〇担当コーチ」などの呼称を置いている場合がありますが、本学の規則上、現場指導者の枠組みは「監督」「コーチ」および「登録指導者」としています。

体育各部は、本学の正規学生を、体育各部の活動に参加する部員として登録することができます。登録学生数は毎年約2,500名で、学部学生全体の約5%です。学部別に見ると、スポーツ科学部の学生が約3割を占め、残りの学生はさまざまな学部に分散しています。

スポーツ科学部の割合が意外に低いと思われるかもしれませんが、野球部、庭球部、競走部、ラグビー蹴球部、ア式蹴球部など、スポーツ科学部生の割合が高い部もあります。

体育各部は、部長が任命する「学生代表委員」として、主将および主務を置くことができます。学生代表委員は、部長の指導により部務を遂行します。主将は競技面のリーダー、主務は運営面のリーダーといえます。

このほか、副将、副務、マネージャー、トレーナー、学連担当等の部員役職を配置することができますが、毎年度、役員名簿としてセンターへ届け出る必要があります。

部の運営にかかる費用は、約3分の1が大学からの補助、約3分の1がOBOG会等の外部組織からの支援、約3分の1が部員の自己負担となっています。ただし、予算規模は部ごとに異なります。

2.競技スポーツセンター

センターは、体育各部を統括するとともに、学内外の諸機関と連携を図り、体育各部の活動を支援することをもって、本学のスポーツ振興に寄与することを目的として設置された機関です(規則第2条)。

(1)沿革

大隈重信は、「知育・徳育・体育の三者は相並行して進まざるべからざるは、今更の問題にあらず」と説きました。1882年の創設以来、本学は文武両道を奨励してきました。開学当初から運動会や水上運動会が盛んに行われ、学生のスポーツ活動を積極的に支援してきました。

1897年に「体育部」が設置され、1901年に野球部が公認されて以来、さまざまな競技種目が公認されてきました。2025年4月現在、44部が早稲田大学体育各部として公認されています。

1952年には、大学の体育行政を一元化し、一層の充実と発展を図るため、正課授業を扱う「体育部」と、課外活動を扱う「体育会」が統合され、「体育局」が創設されました。

2000年代に入り、早稲田スポーツの強化を検討する「スポーツ振興協議会」等における検討を経て、2003年、体育局は「競技スポーツセンター」に改組されました。同年は、スポーツ科学部が設置された年でもあります。

(2)事業

センターは、その目的(規則第2条)を達成するため、次の事業を行います(規則第3条第1項)。

  1. 体育各部の強化に関する事項
  2. 体育各部の財政支援に関する事項
  3. スポーツ施設等の管理運営に関する事項
  4. 早稲田スポーツの認知度向上に関する事項
  5. オリンピック・パラリンピックを含む国内外のスポーツに関する大会ならびにスポーツ関連イベントの運営および協力に関する事項
  6. その他センターの目的達成に必要な事項

前述の事業を踏まえ、具体的には次の業務を行っています。

  • 保険加入手続きおよび健康診断
  • 体育各部の経理処理
  • 部長、指導者、部員、保護者等からの相談への対応
  • 部からの要望、学外からのクレーム等への対応
  • スポーツ施設および寮の管理、運営、修繕
  • 各種試合の応援
  • 行事の手配および実施
  • WAP(後述)の運営
  • 「試合等参加届」の発行
  • 稲門体育会(各部OBOG会を統括する組織)の事務
  • 各種印刷物・出版物の発行(WAPテキスト、スポーツ年鑑、卒業アルバムなど)
  • ホームページやSNS等による情報発信

その他、各種行事・イベントの運営や細かな日常業務等も含め、センターは、体育各部に関わるさまざまな事項に日々対応しています。

また、体育部設置から125年目にあたる2022年を「早稲田スポーツ第二世紀始まりの年」と位置づけ、将来に向けた施策である「早稲田スポーツ BEYOND125プロジェクト」を展開しています。

同プロジェクトでは、本学全体のスポーツ振興やブランド育成を目的として、体育各部の活動とファンとの接点を増やすことにより、学内外の一体感を醸成するとともに、早稲田スポーツの基盤強化を目指し、次のような取り組みを行っています。

① 体育各部共通ロゴの制定

体育各部44部を象徴する共通のシンボルとして、「体育各部共通ロゴ」を制定しました。

本学創設者である大隈重信の「おおくま」にちなみ、動物の「熊」をモチーフに取り入れています。アメリカのカレッジスポーツを想起させる「強さ」「勇ましさ」を感じさせながらも、体育各部、教職員、卒業生が一体となれるようなロゴとなっています。

体育各部共通ロゴをあしらった徽章を、部長、副部長、監督には金色、コーチには銀色、部員には銅色で配付しています。大学や部の公式行事の際には、ぜひ着用をお願いします。

体育各部のユニフォーム、練習着、旗などにも、体育各部共通ロゴを積極的にご使用いただきますようお願いします。

➁ クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを介して、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する仕組みです。

体育各部にとって、運営資金を獲得できるだけでなく、新たなファンの獲得につながる可能性もありますので、積極的に取り組んでいただきますようお願いします。

なお、体育各部がクラウドファンディングを実施する場合は、事前に計画書を作成し、本学総長室社会連携課に提出した上で、承認を受ける必要があります。

クラウドファンディングを実施する場合は、時期に余裕をもってセンターにご連絡ください。センターも、体育各部におけるクラウドファンディングの実施準備や周知を支援します。

③ 広報の強化

センターのWebサイトやSNSにおいて、学生サークル「早稲田スポーツ新聞会(早スポ)」とも協力し、体育各部の情報を積極的に発信しています。

また、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」と契約し、早稲田スポーツに関する公式コンテンツを配信しています。

さらに、スポーツエンターテインメントアプリ「Player!」上でも、体育各部の試合予定や結果等の情報を発信しています。

これまで、体育各部の試合予定や結果は各部が個別に発信していたため、情報が分散し、「体育各部がいつ、どこで試合をしているのか分からない」といった課題がありました。

「Player!」を利用することにより、管理用アプリに情報を入力すれば、その内容がセンターや体育各部のWebサイト、SNSに配信されるようになります。

入力の手間が省けるだけでなく、「Player!」やセンターのWebサイトに試合予定・結果速報が集約されるため、情報の一覧性が向上します。積極的な情報発信が、早稲田スポーツファンの一体感の醸成につながります。

まだ「Player!」をご活用いただいていない部におかれましては、ご協力をお願いします。

④ 高大連携の推進

体育各部においては、多くの附属・系属校出身者が、競技面および運営面で活躍しています。

また、さまざまな学部に在籍する附属・系属校出身者は、早稲田スポーツへの関心を全学的に高める上でも重要な存在です。

体育各部から附属・系属校への指導者の派遣や、合同練習などの機会の提供は、双方にとって多くのメリットがあると考えられます。

加えて、一般的に、主務やOBOG会の役職者には附属・系属校出身者が多い傾向が見られます。競技活動の継続や部員確保への支援という観点から、センターでは体育各部と附属・系属校との橋渡しに取り組んでいます。

⑤ VIVASEDAによる一体感の醸成

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の機運醸成を目的として、学生プロジェクト「VIVASEDA」が2019年に設立されました。

イタリアチームが事前キャンプを所沢キャンパスで行ったことから、「VIVA!WASEDA」を由来とする名称です。

大会終了後は、体育各部と、体育各部を取り巻くさまざまなステークホルダーとの一体感を醸成するための施策に取り組んでいます。

学生目線による企画が体育各部に提案されることもあるかと思いますが、可能な範囲でご協力ください。

(3)所長・副所長・センター事務所スタッフ

センターには、センター業務の統括者および代表者として、所長1名が置かれます(規則第4条)。また、所長を補佐する役割として、副所長が若干名置かれます(規則第10条)。

副所長は、所長に事故があるとき、または所長が欠けたときは、その職務を代行します(規則第11条)。

センター所長は、総長により指名・任命され(規則第7条)、副所長は、所長の推薦に基づき大学が嘱任します(規則第12条)。

その他、センターには、事務長、専任職員、常勤嘱託、派遣社員のほか、スチューデント・ジョブとして学生スタッフが勤務しています。

(4)管理委員会・体育各部部長会

センターを管理する意思決定機関として、「競技スポーツセンター管理委員会」(以下「管理委員会」といいます。)が置かれています(規則第14条)。

管理委員会は、体育各部の予算・決算に関する事項や各種人事をはじめ、各部に関わるさまざまな議論と決定が行われ、重要な情報が共有される場です(規則第17条第1項)。

また、体育各部部長会(以下「部長会」といいます。)は、管理委員会の下に置かれるものです(規則第19条)。両会議は、原則として年6回、2か月に1回の頻度で併催されます。

センター所長と管理委員会との関係は、学術院長と学術院教授会との関係のような構造となっており、所長および副所長はセンター執行部を構成します。

3.体育各部を支えてくださる方々

(1)OBOG

スポーツチームの現場それ自体は、「勝利」を一義的な目的として活動する集団です。一方で、OBOG会を含めた運動部組織は、「疑似血縁集団」とでもいうべき一面を持っています。

部員はもちろん、OBOGにおいても、部の運営を無償でサポートしてくださったり、金銭面で支援してくださったりする場合があります。また、運動部は、多くの場合、強い愛情や愛着によって支えられた情緒的な共同体でもあります。

そうした側面は、本学に限らず、運動部的心性としての独特の「ウチソト意識」を醸成することがあります。

部の「ウチソト意識」は、おそらく同心円状になっています。最も内側にいるのは現役部員です。その外側に、監督、コーチ、登録指導者などの大人がいます。ここまでが最もコアな部分、すなわち「現場」です。

同じ大人でも、監督やコーチは「ジャージ組」として内側と捉えられ、部長は「背広組」として外側と捉えられることもあります。

その意味では、部の運営面で関わっているOBOGは、監督、コーチ、登録指導者として外の円にいる「ウチ」の人間であり、さらに一般のOBOGがその外側に位置します。

各部にはそれぞれ、「ウチ」の人間なら皆が知っている、口承で伝えられた逸話や伝説があり、英雄的な先輩がいます。部とは、伝統やノスタルジーのような集合的記憶を共有することによってつながる、強固な「われわれ」集団です。

誤解を恐れずにいえば、部長制度は一種の「シビリアン・コントロール(文民統制)」のような体制です。もともと体育各部に関係がなく、一部の例外を除いて、スポーツにもほとんど関わったことのないさまざまな学部の教授が、この任を負っているからです。

これは、「現場」に直接関わりのない人をトップに置くという、大げさにいえばプラトンの「哲人支配」的な構造になっているともいえるかもしれません。

しかし、部における「ウチソト意識」は、必ずしも悪いものではなく、むしろ必要ですらあります。勝利を目指す「現場」では、勝つために内部における強い心理的凝集性が必要だからです。

したがって、その凝集性が外部からの干渉により阻害されるのではないかという心理が働くと、凝集性を守ろうとして、「上(ソト)から」のガバナンスやマネジメントを敬遠したり、拒絶したりすることがあります。

この点に留意し、部長は、決して現場の凝集性を阻害しないというメッセージを送り続けることが重要です。

大学、すなわちセンターや部長という一種の「ソト」と、現場やOBOGという「ウチ」との間の調整機能を果たしているのが、各部OBOG会と、その連合体である「稲門体育会」です。

OBOG会は、会費や寄付によって部の運営を支えるほか、監督、コーチなどの人材バンク的役割も果たしています。

監督やコーチは、大部分が当該部の卒業生である学外者であり、その指名も実際にはOBOG会が行うことが多くあります。ただし、最終的に監督やコーチを嘱任するのは大学であり、嘱任を申請する権限を有するのは部長のみです。

稲門体育会は、44部のOBOG会を統括するとともに、毎年、稲門体育会賞、体育名誉賞などを現役部員に授与しています。

早稲田アリーナ新設の際には多額の寄付を集め、アリーナ内に早稲田スポーツミュージアムが設置されたのも、この組織の尽力によるところが大きいものです。

2018年からは、稲門体育会の実行委員として、各部から最低1名の女性委員を選出することを決定しました。

OBOG会や稲門体育会とは一定の距離感が必要ですが、良好な関係を築くことができれば、部の運営において心強い存在となります。この点を十分に意識しながら接するよう心がけてください。

(2)部員の保護者等

民法の改正により成年年齢が引き下げられ、すべての部員が成人となっています。大学生の父母を「保護者」として扱うことについては、さまざまな意見があると思われます。

しかし、部員の保護者は、部員にとって最大の理解者であり支援者です。部の活動について十分にご理解いただけるよう努めてください。

部員のけがや事故等が生じた場合には、保護者等、主にご父母へ迅速に連絡する必要があります。緊急時に部員の保護者等へ直ちに連絡を取ることができる体制を確立しておいてください。

保護者会の有無は部によって異なります。保護者会がある部はもちろん、保護者会がない部でも、新入生の入部時に、OBOG会を中心として「保護者説明会」を開催している場合があります。

部長の先生方におかれましても、可能な限り、こうした説明会にご出席いただけますと幸いです。

一方で、さまざまな立場や考え方の方がいらっしゃいますので、部の活動に支障が生じないよう、適切な距離感を保って接してください。

保護者会等の各種会合に招かれることもあるかと思いますが、その内容や位置づけを踏まえ、必要な場合に参加するようにしてください。

(3)大学スポーツのステークホルダー

大学スポーツのステークホルダーは、体育各部の指導者、部員、OBOGだけではありません。

保護者等はもちろん、一般の観客やファン、近隣住民、支援してくださる企業、「早稲田スポーツ新聞会(早スポ)」や「ULTRAS WASEDA」(サッカーのサポーターサークル)といった学生サークルなど、さまざまな人々が関わっています。また、早稲田大学が加入している一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、指導者向けの研修・情報を提供していますので、ぜひご活用ください。

特に部員を中心として、部全体で理解するようご指導ください。