大学は教育機関として、社会から厳しい法令遵守(コンプライアンス)が求められています。特に大学を代表する立場にある体育各部には、それ以上に高いコンプライアンス意識が求められます。
また、ハラスメント防止、ダイバーシティ、男女共同参画、人権問題等についても、体育各部は率先して取り組む必要があります。これらについて全部員へ周知徹底するようご指導ください。
体育各部の活動および活動に付随する行動(移動・ミーティング・会合等)において事故や事件が発生する場合があります。また、授業や私生活において発生した事案についても対応を求められる場合があります。
その際には、部長を中心として事実確認や大学への報告を行う必要があります。
1.事故
スポーツには常に事故のリスクが伴います。骨折や脱臼だけでなく、死亡事故や重大な後遺障害を伴う事故も実際に発生しています。
施設・設備・備品の不具合や不適切な練習内容が事故原因となる場合もあります。日頃から安全点検を徹底してください。
事故発生時はセンターと情報共有を行いながら、迅速に対応する必要があります。
(1)応急手当の実施
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- 被害者の安全確保を最優先とし、適切な措置を講じる。
- 症状を確認し、周囲へ応援要請を行う。
- 必要に応じて止血や心肺蘇生等の応急手当を行う。
- 緊急時は警察・消防へ通報する。
- 救急搬送時は指導者または責任を持って対応できる部員が同乗する。
- 事故発生状況や対応状況を時系列で記録する。
(2)センターへの報告
事故発生時は応急手当を優先しつつ、速やかにセンターへ連絡してください。
その後、「受傷等報告書・保険金請求/事故速報」を提出してください。
(3)保護者等への連絡
事故の概要、負傷状況、搬送先病院等を整理したうえで、可能な限り速やかに保護者等へ連絡してください。
(4)重大事故発生時の対応
死亡事故や意識障害を伴う事故などの重大事故が発生した場合は、部活動を直ちに中止してください。
事故発生後は速やかに初期調査を行い、原則として3日以内に事実関係を整理してください。
重大事故については、大学の対策本部・調査委員会等が中心となり対応を行います。
(5)スポーツ傷害保険等の請求
部活動中の受傷については、スポーツ傷害保険または早稲田大学学生補償制度の対象となる場合があります。
事故発生時の基本対応
- 応急手当・救命措置
- センターへ報告
- 部長・指導者へ連絡
- 保護者へ連絡
- 初期調査の実施
- 必要に応じて対策本部・調査委員会での対応
2.不祥事・事件
近年は、大学の運動部における不祥事が社会の関心を集めています。 大学の運動部において発生し得る不祥事として、次のようなものがあります。
- 違法薬物の使用
- 重大な人権侵害を伴う行為(のぞき、盗撮、痴漢、強制わいせつ行為等)
- 飲酒に関わるトラブル(二十歳未満飲酒、急性アルコール中毒、酩酊状態でのトラブル等)
- 窃盗(部内や寮内での窃盗、店舗での万引き、自転車の窃盗等)
- 不正乗車
- ハラスメント(部員間、部員と指導者間等のパワーハラスメント等)
- 暴力行為
- 試験・レポートにおける不正行為
- SNSへの不適切な投稿
残念ながら、上記のうちいくつかは実際に本学体育各部でも発生しています。 このような不祥事事案が明らかになった場合は、速やかにセンター相談窓口 (ac-soudan@list.waseda.jp) へ連絡してください。
センターが先に事案を把握した場合は、部長・指導者と速やかに情報を共有します。 指導者は部長と協力し、関係する部員へのヒアリング等を通じて事実関係を確認し、 書面によりセンターへ報告してください。
(1)部員による非違行為が確認された場合
部員による非違行為が確認できた場合は、センターから所属学部に報告し、 所属学部において懲戒処分が行われる場合があります。 また、センターとしても活動規程に基づき処分を行うことがあります。 活動規程に基づく処分については、「Ⅱ.5.部員に対する指導・処分」を参照してください。
(2)不祥事を起こした部員への指導と再発防止
不祥事を起こした部員に対する指導は、部長を中心に指導者が実施します。 退部処分や退学処分となる場合を除き、部活動への復帰に向けたプロセスについても 検討する必要があります。
当該部員に反省を促し、同様の行為を繰り返すことがないよう、 部長・監督を中心に定期的な面談を行うほか、 ボランティア活動や外部の専門機関が実施するプログラムへの参加を促すなど、 自らの行為に対する内省を深めるための指導を行ってください。
(3)被害を受けた部員への支援
事案によっては、同じ部内に被害を受けた部員がいる場合があります。 こうした部員が心に深い傷を負っている可能性もあるため、 部活動や学業を継続できるよう、学生相談室や学外の専門機関の協力を得ながら、 必要なケアや支援を行うことが重要です。
(4)部・組織としての対応
不祥事の責任が、個々の部員の責任だけに留まらない場合もあります。 多数の部員が不祥事に関わっている場合や、組織ぐるみの不祥事、 部の体質・組織文化に問題が認められる場合等には、 部としての責任が問われる可能性があります。
そのため、個々の部員への対応だけでなく、不祥事が発生した背景や原因を確認し、 部の指導体制や運営方法等についても必要に応じて見直し、 再発防止に取り組むことが重要です。
(5)メディア・SNSへの対応
大学の運動部における不祥事は、メディアで大きく取り上げられることがあります。 取材対応の誤りや、部員等によるSNS上での不用意な投稿等によって、 事態が悪化する場合もあるため、十分な注意が必要です。
メディア対応については、広報室に一本化するなど、 総務部、学生部、総長室、所属学部等の大学関係箇所と連携しながら対応する必要があります。 センターとしても、部長・指導者と協力して事案に対処します。
3.苦情その他トラブル
センターには、一般の方々から様々な苦情が寄せられます。
- 歩行マナー
- 飲食店での行動
- 自転車マナー
- 騒音
- SNS上での問題行動
体育各部は常に社会から注目されています。部員に対し、日常生活においても自覚ある行動を促してください。
事件・事故・苦情等において最も重要なのは迅速な事後対応です。問題が発生した場合は、速やかにセンターへ相談してください。
4.損害賠償等
部員または体育各部が故意または過失により大学や外部施設の設備・物品等を損傷した場合、その損害を賠償しなければなりません。
事案発生時は速やかにセンターへ報告してください。
5.コンプライアンス指導
(1)コンプライアンス指導によるトラブル予防
事故や事件、苦情等は部活動そのものを停止させる可能性があります。
そのため、部長を中心に定期的なコンプライアンス教育を実施してください。
センターではWAPを通じてコンプライアンスセミナーや教材提供を行っています。
重点的に指導いただきたい法令違反
- 違法薬物
- 盗撮・痴漢等の破廉恥行為
- 未成年飲酒・喫煙
- 窃盗・強盗
- 不正乗車
- 暴力行為
- 施設等の損壊
- 個人情報保護法違反
重点的に指導いただきたい内部規範違反
- アンチ・ドーピング規則違反
- 安全基準違反
- 試験等の不正行為
- 無断欠席・遅刻
- ハラスメント
- 飲酒トラブル
- SNSへの不適切投稿
(2)早稲田スポーツにおけるコンプライアンス指導
コンプライアンス教育は、単に「ルールを守ること」を求めるものではありません。ルールに従うことだけを重視すると、その内容や指導が適切かどうかを自ら考えることなく行動し、結果として問題やトラブルにつながるおそれがあります。
早稲田スポーツでは、「自主性」を大切にしています。学生がスポーツ活動を通じて成長するためには、決められたルールを受け入れるだけではなく、「なぜ、このルールが必要なのか」「どのような目的や背景があるのか」「自分たちはどのように行動すべきか」を自ら考え、理解したうえで行動することが重要です。
また、既存のルールについても、その趣旨や背景を理解し、必要に応じて自分たちの活動や組織のあり方を考えていくことが、主体的な活動につながります。こうした過程を通して、部員一人ひとりが自ら考え、適切に判断し、責任をもって行動する力を身につけることが、早稲田スポーツにおけるコンプライアンス指導の重要な目的です。
コンプライアンスへの理解と実践は、競技活動上のリスクを防ぐだけでなく、部員一人ひとりの成長にもつながります。 指導にあたっては、ルールを一方的に守らせるのではなく、その趣旨や背景について部員と共有し、部員自身が考え、判断し、行動できるよう促してください。
6.ハラスメント防止と暴力行為根絶
本学は、すべての学生・生徒および教職員が一人ひとり尊重され、ハラスメントを受けることなく、安心して学び、活動し、働くことのできる環境づくりを重視しています。早稲田スポーツにおいても、暴力やハラスメントを「しない」「許さない」ことをすべての活動の基本としてください。
スポーツの現場では、競技力の向上という共通の目標に向け、指導者と部員、部員同士の間に密接で緊張感のある人間関係が形成されることがあります。だからこそ、指導する側は、自らの言葉や行動が相手にどのように受け止められるかを常に意識する必要があります。本人に悪意がなく、相手の成長を思って行った指導であっても、言葉や態度、行為によって相手を傷つけ、ハラスメントとして問題となることがあります。
また、これまでスポーツの世界で許容され、あるいは黙認されてきた指導方法や慣習であっても、現在の社会的な基準や人権意識に照らせば、適切とはいえない場合があります。「以前は普通だった」「自分も同じように指導された」という経験だけを基準とせず、多様性と人権を尊重し、現在の基準に照らして自らの指導を振り返る姿勢を大切にしてください。
特に、スポーツ組織は人間関係の結びつきが強い一方で、問題が組織の内部にとどまり、周囲から見えにくくなることがあります。日頃から活動の公開性を高め、暴力やハラスメントを黙認したり、問題を組織内だけで処理したりすることのない運営を心掛けてください。問題やその兆候に気付いた場合には、抱え込まず、速やかに競技スポーツセンター等へ相談することが重要です。
暴力は、身体的な行為だけを指すものではありません。人格を否定する言動、威圧的な指導、いじめや嫌がらせなども、スポーツの価値や人権の尊重とは相いれません。 暴力や威圧による強制・服従では、部員が自ら考え、判断する力を育てることも、指導者と部員との健全な信頼関係を築くこともできません。
指導にあたっては、次のことを常に意識してください。
- 暴力やハラスメントは人権を侵害する行為であり、いかなる理由があっても許されないことを理解する
- 暴力や威圧による強制・服従では、優れた競技者や強いチームは育たないことを認識する
- 部員一人ひとりの個性や状況を尊重し、自ら考え、判断できる力を育てる
- 日頃から部員とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係に基づく指導を行う
- 競技力の向上だけでなく、人間的な成長や人格形成もスポーツ指導の重要な目的として捉える
- 暴力やハラスメントを黙認せず、問題を隠さない、相談できる組織づくりを進める
早稲田スポーツに関わるすべての人が安心して活動できる環境をつくることも、指導者の重要な役割です。「勝つため」「強くするため」であっても、暴力やハラスメントが正当化されることはありません。 競技力の向上と部員一人ひとりの成長を両立させるという視点を持ち、互いを尊重する組織づくりに取り組んでください。
7.ダイバーシティ推進
本学は「ダイバーシティ・男女共同参画の推進」を掲げています。
国籍、性別、障がい等による差別が生じない環境づくりにご協力ください。
学生からジェンダーやセクシュアリティに関する相談があった場合は、本人の了承を得たうえでGSセンターへ相談してください。
| 名称 | 相談内容 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 競技スポーツセンター | 体育各部全般 | ac-soudan@list.waseda.jp 03-5286-3757 |
| コンプライアンス相談窓口 | ハラスメント・公益通報 | compliance@list.waseda.jp 03-5286-9824 |
| 学生110番 | 学生生活全般 | student@list.waseda.jp 03-3202-0706 |
| GSセンター | ジェンダー・セクシュアリティ | gscenter@list.waseda.jp 03-5286-3747 |
| 保健センター学生相談室 | 学生相談全般 | 03-3203-4449 |
8.アンチ・ドーピング
ドーピングはスポーツの価値とフェアプレー精神に反するだけでなく、アスリートの健康を脅かします。
現在はトップアスリートだけでなく、大学生を含む競技者全体が対象となっています。
特に風邪薬やサプリメントには禁止成分が含まれている場合があるため注意が必要です。
- 処方薬も成分確認を行う
- サプリメントは十分注意する
- 医師へ競技者であることを申告する
- 最新の禁止表国際基準を確認する(日本アンチ・ドーピング機構(JADA))
